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ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

CATEGORY | etcetra,column
POSTED | 2019年11月15日
ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

雨の日には、恋が生まれやすい(かもしれない)。

しとしとと降り続く雨にうんざりするよりは、そんな期待を胸にときめいていたいもの。

そこで今回は、傘をきっかけに生まれる男女のコミュニケーションと、雨の日のファッションについて、ボンボンストアのデザイナー・井部祐子が、旧知の仲である服飾ディレクターの岡本敬子さんと、The Tastemakers & Co. の壹岐文寛さんを招いてのおしゃべりをお届けします。

“気遣いができるジェントルマンがいい”

井部 実は私、まだ傘をデザインするようになる前の話ですが、傘をきっかけに恋に落ちたことがあるんです。傘を持たずに歩いていたら、後ろから傘をさしかけてくれた人がいて。彼はハンサムで、家が同じ方向だったので一緒に歩き始め、会話が弾んでそのまま2人でお酒を飲んだという、そんな昭和な恋の話から始めます(笑)。

岡本 そんな話、あったね! 懐かしい。(井部と岡本さんは学生時代からの同級生)

井部 私は酔っ払っていたから雨に濡れるのも気にならなかったし、もう雨もやむというタイミングだったんだけど、彼の傘を見たら折りたたみ傘のハンドルのところに傘カバーが結んであって。こういうことをする人は悪い人じゃないなって思って心を許したんですよね(笑)。

岡本 昔の男性のほうが、そういうことをさらっとできていた気がするよね。今の若い人たちより、ジェントルマンだった。私たちにとってのお婿さん候補ナンバー1の壹岐くんはどうでしょう。

ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

壹岐 知らない女性に傘を差し出す…、ちょっと難しいかもしれないですね(笑)。周りにも、そういうことをできる人はいないかも。みんな消極的というか。

井部 壹岐くんは、さりげなく気遣いができる人だけどね。初めて会ったときはまだ20代だったけど、気が効く好青年だった。

岡本 ほんと、クリーンなイメージしかないよね。ギラギラと自己主張せず、静かにきちんとしてる。だから応援したくなっちゃう。

壹岐 でも女性に傘をさし出すって、なかなかハードルが高いですよ。

井部 道ですれ違うときもね、昔は男性のほうが気を遣って傘を上げてくれたりしていたのに、今はそういうこともない。スマホ見ながら歩いてたりして、なんだか寂しいなって。

岡本 お先にどうぞ、っていう気遣いがないよね。みんな、我先にって動いてる。

井部 傘を持ち歩くときも真横に抱えている人がけっこう多いのが気になっています。

壹岐 後ろの人にささってしまうし、小さな子どもとかいたら危ないんですよね。

井部 傘を開くときや傘の雨水を払うときなんかも、周りの様子を見ない人が多い。たくさん人がいる場所で傘を振ってるおじさんとか見ると、もう!って怒りたくなっちゃう。

壹岐 人の振りみて我が振り直せ、ですね。すれ違うときとかも、僕もちゃんとできているのかなって考えました。

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井部 そんななか、見ず知らずの女性がきちんとたたんでいるシーンを見ると、とても素敵な所作だなあと感心します。

壹岐 東京のスピード感に流されると心の余裕がなくなってしまって、人に興味が持てなくなるのかも。だから気遣いができないのかもしれないですね。海外に行くと、すれ違うときに「その帽子かわいいわね」って声をかけてくれたり、「荷物、重そうだね」って手助けしてくれたりっていうことがよくあるんだけど。

岡本 ほんと、海外では前を歩いていた人がドアを開けて待っててくれたりするよね。

壹岐 僕もそれをやらなきゃって思っているけれど、日本ではなんだか難しい。フランスとかイギリスだとみんなが当然のようにそうしているから、自分でもできるんだけど。

井部 海外にはハグの文化もあるし、人との距離感が近いけれど、日本だと人と距離をとりがちかもね。私も信号待ちのときに濡れている人がいたら、傘をさし出すくらいしかできないかも。

岡本 東京以外の地方に行くと、日本でも人がもう少し優しい気がする。老若男女関わらず、席を譲ってくれたり、声をかけてくれたり。昔は東京にもそういうローカルな空気があったと思うんだけど、今は減っちゃったよね。

井部 電車でも、濡れた傘をそこらへんにかけてしまうのではなく、傘袋に入れて人に当たらないようにしようとか、日常的な気遣いがもっとスムーズにできるといいよね。私たち大人ができていないから、若い人もできないのかな。

壹岐 僕も子どもが生まれてから、そんなふうに思うようになりました。言葉遣いとか、僕の行動を子どもは見ているなって。他人への気遣いも意識して伝えていきたいですね。

岡本 うちの夫はジェントルマンだけど、それはやっぱり海外での経験からかもしれない。若い頃より今のほうが、ドアを開けてくれたり、レディファーストなんかも自然とやってくれる。

井部 間もあるよね。まわりの男性にヘルプの気配なしと思うと、ついついグイグイいっちゃう。だけど、間をあけちゃうと、声がかけづらくなるときもある。重い荷物を持っている女性を見かけても、手伝おうかともたもたしていると声をかけづらくなる。邪魔になっちゃうかな?とか迷ったりして。

壹岐 遠慮される前に持ってあげちゃうくらいのスマートさがいいのかも。こちらも緊張しているから、「ありがとう」って言葉を返してくれたりすると嬉しいですね。また手伝いたいって思う。

岡本 今は女性も社会でバリバリ働いたりして、強くなっちゃってるからね(笑)。

壹岐 だからこそ、そういう柔らかい表情を見せてくれると素敵だなって思いますね。

“雨の日のファッションと傘はどう選ぶ?”

岡本 私は太陽が大好きな高気圧ガールだから、雨は憂鬱。せめて明るい色の服を着たり、逆に濡れても気にならないオールブラックでコーディネートして、アクセサリーで明るい色をポイントにしたりしています。色で気持ちを上げるのが好き。

ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

井部 私は天の邪鬼だから、白が着たくなっちゃう。「白は汚れが目立つよ」という心の声が聞こえるんだけど、目立たない色だって結局は汚れているんだったら、見えるか見えないかというだけの違いじゃん!って。すると余計に、絶対に汚さないぞ~と奮い立ちます(笑)。長靴は重いし、帰り時間に晴れることもあるから、あまり履きたくなくて。

ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

壹岐 僕も雨の日は、靴が濡れるのが気になりますね。特に靴下が濡れるのがものすごく嫌なので、ゴアテックスなどの機能的な素材の靴やブーツを履きます。夏だったらいっそサンダルにしちゃうことも。

岡本 私も靴下の替えは持ち歩いてる。洋服は天気で決めるから、天気予報は1時間おきにわかるアプリを利用していて、毎日チェックしてるんです。途中で晴れるなって思ったら、傘も折りたたみ式を選ぶ。

井部 傘選びは、重要だよね。洋服とのコーディネートも大事だけど、傘をさしてみると、細部の色づかいが全体に影響していることってけっこうある。接客するときも、みんな鏡を見てみてくださいねってよく言ってます。

壹岐 買うときも、やっぱり実際に見て触って試してみるのがベストですよね。

岡本 傘はそんなに安いものでもないからね。だけど1本だけじゃなくて、何本か持っていてもいいんじゃない?って思ってる。私もボンボンストアの傘に出会うまでは、晴れ女なだけに傘にあまり興味がなかったんだけど。今はアフリカンプリントの傘を始め、1週間毎日違う傘が持てるくらいは持っています(笑)。ピンク系、オレンジ系というふうに色で選んでいるから、どんどん増えていくの。黒は持っていないけど。

壹岐 僕はビニール傘も使うけど、愛用している長傘は2本ですね。折りたたみ式と長いものと1本ずつ。ボンボンストアのグレーの無地の長傘も持っているけれど、軽くて使いやすいサイズなので、ほとんど妻が使っています。使い続けてるうちに、バンブーの柄にツヤが出てきましたね。

岡本 私、腕時計をしてバンブーの柄の傘を持っている男性の腕に萌えます。手フェチなの(笑)。

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壹岐 僕は、地味じゃない傘、色や柄がある傘をさしている女性がいると、おっと目を引きますね。こだわりを持って選んでいるんだなって感じられるのがいい。

井部 接客しながら見ていると、女性はモカベージュやグレーの無地を選びがちなんだけど、一緒にいる男性が色柄があるのを勧めている場面をよく見ます。男性でアフリカンプリントの傘を買ってくれた人も何人かいるんですよ。

岡本 色があるほうが顔が映えるもんね。色柄の傘は難しそうに思われがちだけど、洋服とベースの色を合わせたり、同じ色を使っているものを合わせると、しっくりと馴染みます。

井部 色や雰囲気が仲間っぽいものを合わせるのがいいよね。あえてハズしてるのがかわいいってときもあるけど。

岡本 コーディネートも完璧じゃないほうが、”頑張ってる”感じがでなくていい。人間も同じだな。

井部 完璧だと、誰も手を差し伸べてくれないからね。敬子は好きなものを見つけたとき、目が変わるよね(笑)。

岡本 私の買い物はすべてひと目惚れです。恋愛と一緒! ボンボンストアの傘はいいなあって思った色が、たまたま手持ちにない色だから買ってしまう…、気が多い(笑)。ボンボンストアの傘は雨音もいいし、つい増えてしまうのは仕方がないんです。

壹岐 傘をさしていて雨音がいいと感じるなんて、なんだか心の余裕を感じますね。人にもやさしくできそうです。

ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん
ボンボンストア コラム vol.2 岡本敬子さん&壹岐文寛さん

※この写真で壹岐さんがさしている傘は、広尾にあるユニセックスのポケットTシャツショップ charcoal TOKYO の別注で作った傘です。

プロフィール

岡本敬子

大手アパレル会社のPR部門にて国内外のブランドのPRを担当した後、独立。フリーランスで複数のブランドのPRを担当しながら、2010年に自身のブランド「KO」を立ち上げ、さまざまなブランドとコラボレーションするなど、こだわりを反映したものづくりをしている。また、千駄ヶ谷にあるセレクトショップ「Pili」のディレクションも手がけている。インスタグラムは@kamisan_sun

壹岐文寛

良いモノだからずっと使っていきたいと思うモノ、好きなモノだから毎日使っていて楽しくなるモノを集め、心の感覚の “ taste ” を刺激するセレクトショプ「The Tastemakers & Co.」のディレクター。オリジナルアイテムのほか、インテリア雑貨、キッチングッズ、フード、ウェアやバッグなど、幅広いアイテムを扱っている。
The Tastemakers & Co.

撮影/福場慎二 ライター/藤井志織 ヘアメイク/福場みどり

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